個人向け国債、その安全性とキャッシュバックキャンペーンで人気の商品ですが、どこの証券会社で購入するのがお得なのか比較します。また、キャッシュバックを定期預金に換算した場合の年利はいくらになるのか、さらに、個人向け国債を長期で保有する意味があるのかを解説します。
個人向け国債には、変動10年、固定5年、固定3年の3種類がありますが、以下の計算は、現時点では最も有利であろう変動10年についてのみ行います。
[最終更新日:2020.9.5]2020.9募集分からのキャッシュバック減額を受けて最新の情報に更新
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個人向け国債はどこの証券会社で購入するのがお得?
キャッシュバック・キャンペーンを実施している証券会社で購入する事
*2020年10月発行分(9月募集)より手数料体系が変更になり、キャシュバック金額が減額となりました。
詳細は下記記事をご覧ください。
先ず、個人向け国債はキャッシュバック・キャンペーンを実施している証券会社で購入する事を強くお勧めします。
各証券会社のキャッシュバック・キャンペーンの実施状況は下記ページを参照して下さい。
*キャンペーンは毎月実施するとは限りません
キャッシュバックキャンペーン 証券会社比較
前述のように2020年9月募集分より手数料体系の変更、そしてキャッシュバック金額が減額となりましたが、変更後、キャンペーン実施を発表している、
大手店頭証券のSMBC日興証券、大和証券、野村證券、みずほ証券、
ネット証券のSBI証券、
この5社について比較します。
*楽天証券はキャンペーンを実施する月が少ない為、ここでは割愛します。
*SMBC日興証券は2021年11月より現金、Vポイントギフトの選択制になりましたが、ここでは現金の場合で表記。(Vポイントギフトだと金額換算で現金以上のプレゼントになります)
各証券会社の個人向け国債キャッシュバック金額・還元率
各証券会社のキャッシュバック金額、及び還元率(=キャッシュバック金額/購入金額)を下表にまとめます。
SMBC日興証券、大和証券、野村證券、みずほ証券のキャッシュバック金額は同じですので、これら大手店頭証券とネット証券のSBI証券との比較になります。
有利な方を赤字で示しています。また、表中()内が還元率です。
*大手店頭証券でも個人向け国債の購入はネットで可能です。
[スマホの方は横にスクロールしてご覧ください]
購入金額 | 日興証券 大和証券 みずほ証券 |
SBI証券 |
|
以上 | 未満 | ||
1万円 | 50万円 | --- | --- |
50万円 | 100万円 | --- | 500円 (0.100%) |
100万円 | 200万円 | 1,000円 (0.100%) |
1,000円 (0.100%) |
200万円 | 300万円 | 2,000円 (0.100%) |
2,000円 (0.100%) |
300万円 | 400万円 | 4,000円 (0.133%) |
3,000円 (0.100%) |
400万円 | 500万円 | 5,000円 (0.125%) |
4,000円 (0.100%) |
500万円 | 600万円 | 7,000円 (0.140%) |
5,000円 (0.100%) |
600万円 | 700万円 | 8,000円 (0.133%) |
6,000円 (0.100%) |
700万円 | 800万円 | 9,000円 (0.129%) |
7,000円 (0.100%) |
800万円 | 900万円 | 11,000円 (0.138%) |
8,000円 (0.100%) |
900万円 | 1,000万円 | 12,000円 (0.133%) |
9,000円 (0.100%) |
1,000万円 | 14,000円 (0.140%) |
10,000円 (0.100%) |
|
以降100万円毎に | 1,400円 (0.140%) |
1,000円 (0.100%) |
キャッシュバック金額・還元率をグラフにしたのが下図。
*図中、「SMBC日興・野村・大和証券」となっていますが、みずほ証券も同じです。
各証券会社とも100万円毎にキャッシュバック金額があがっていきますので、100万円単位で購入するのがお得です。(SBI証券は50万円でも還元率は同じ)
そして最も還元率が高くなるのが、
大手店頭証券は、500万円ちょうど、または1,000万円以上100万単位の0.140%、
SBI証券は50万円、そして100万円以上100万円単位の0.100%。
基本的には大手店頭証券の方がキャッシュバック金額・還元率が高く有利です。
但し、SBI証券は50万円からキャッシュバックの対象となること、また300万円未満は大手店頭証券と同じです。
例えば、550万円購入したい方、500万円を大手店頭証券、50万円をSBI証券と分けて買うのもお得な方法です。
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個人向け国債キャッシュバックを定期預金の金利に換算すると?
キャッシュバックの定期預金換算金利
個人向け国債のキャッシュバックを定期預金の金利に換算してみます。
個人向け国債を1年経過後解約するという前提です。
定期預金の金利は通常、税引前の金利で表示されていますが、実際は、その利息に20.315%が源泉徴収されます。
そこで、個人向け国債のキャッシュバックを年利換算し、それを(1-20.315%)で割る事で、(税引前の)個人向け国債キャッシュバックの定期預金換算金利(年利)となります。
定期預金金利と比較する場合、この定期預金換算金利を用いる方が、より比較しやすいかと思います。
(注意)あくまでキャッシュバックに税金がかからないという仮定のもとでの計算です。個人向け国債キャッシュバックの税金については下記記事を参照して下さい。
このようにして求めた定期預金換算金利を下図にまとめます。
*図中、「SMBC日興・野村・大和証券」となっていますが、みずほ証券も同じです。
大手店頭証券の場合、最大0.176%、
SBI証券でも最大0.125%
となります。
銀行・信用金庫によっては、この年利以上の定期預金もありますが、比較的高金利の部類と言って良いでしょう。
*2020年3月までは最大0.502%でしたので、この時と比較するとかなり低くなってしまいましたが。
個人向け国債のキャッシュバックの(税引前)定期預金換算金利を、銀行預金金利と比較したのが下記記事です。(1年定期預金のランキングを見て下さい)
これを参考に、個人向け国債を購入するか定期預金に預けるか検討してみて下さい。
個人向け国債を長期保有すると?
上記定期預金換算金利は、個人向け国債を購入後、1年後に解約するという前提で計算しています。個人向け国債は1年以上経過すると中途換金できます。但し、ペナルティーとして直前2回分(利子は半年毎に支払い)の利子相当額が差引かれます。即ち、1年で解約すると、個人向け国債そのものの利息はなく、キャッシュバックのみとなります。
それでは、個人向け国債を1年超保有するとどうなるでしょうか?
最近の個人向け国債の利率は最低保証金利の0.05%が多くなっています。変動10の場合、将来、実勢金利(10年固定利付国債)が上がれば、個人向け国債の利率も上昇していきますが、ここでは0.05%一定と仮定して計算します。
SMBC日興証券などの大手店頭証券で購入し、キャッシュバックを受取り、1年後、2年後、そして3年後に解約した場合の年利をグラフにまとめます。(キャッシュバック、及び利子への課税は考慮していません。)
1年で解約した場合は、先に示したキャッシュバックだけの定期預金換算金利と同じです。それが、2年、3年と保有するにつれ、年率の定期預金換算金利は下がっていきます。
1,000万円購入した場合、1年後に解約すれば0.176%もあった年利が、3年経つと0.092%まで下がります。この程度の金利だったら最初から高金利の1年定期預金に預けた方がずっとお得です。
個人向け国債のお得な利用方法。~キャッシュバック・キャンペーンで実質高金利で運用する方法~
前章で示したように、長期に保有するとキャッシュバックを含めた実質年利は下がる一方です。
そこで、個人向け国債を1年毎に購入・解約を繰り返していくのです。
その際、1年分の利息相当額がペナルティとして差し引かれますが、もともと僅かな金利ですのでキャッシュバック金額に比べて微々たるものです。
ただ、多くの証券会社が、解約・すぐに再購入ではキャッシュバックを貰えないルールになっています(購入額から売却額を引いた金額に対してキャッシュバック金額が決まります)。そこで二つ以上の証券会社の口座を開設する事をおすすめします(A証券の国債解約、資金移動してB証券で再購入・・・)。
この方法で、最大0.176%相当の年利で運用する事が出来ます。(キャッシュバックに課税されないと仮定した場合)
個人向け国債の詳細については下記記事も参考にして下さい。
まとめ
以上、個人向け国債のキャッシュバックキャンペーン、どこの証券会社が最も多くキャッシュバックをもらえるか、そして、その定期預金相当の年利、さらに、現在の利率では長期保有が決して有利ではない事をお分かり頂けたかと思います。
個人向け国債を高額で購入する場合は、SMBC日興証券、野村証券、大和証券などの大手店頭証券の口座を二つ以上開設していた方が良いでしょう。
また少額で購入する場合は、SBI証券の口座開設をお勧めします。
*SBI証券は(過去においては)毎月キャンペーンを実施し、50万円以上からキャッシュバックが貰えます。
公式サイトSBI証券
個人向け国債キャッシュバックキャンペーンは毎月実施するとは限りません。最新のキャンペーン実施状況は下記ページを参照して下さい。