多くの方が購入している個人向け国債、投資ブログや資産運用の書籍などでも良く推奨されている商品です。
「国債」という名前ではありますが、事実上、元本、及び利息が保証されており、「債券投資」というより「日本国銀行」の定期預金と考えて良いかと思います。
人気の個人向け国債ですが、それ自体は決してお得な商品ではありません。まして少額で毎月積立てるような商品でもありません。金利を考えれば、銀行・信用金庫の高金利定期預金の方がはるかに優れています。
以下、詳細に比較してみます。
[最終更新日 : 2020.9.4]最新の情報に更新しました。
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個人向け国債とは?
個人向け国債の種類・特徴
個人向け国債には、変動10年、固定5年、固定3年の3種類があります。
変動10年(変動金利型10年満期)は、10年満期で半年毎に金利が変わる変動金利です。金利は、基準金利(*)x0.66で決まります。
*基準金利 : 10年固定利付国債の平均落札利回り
固定5年(固定金利型5年満期)、固定3年(固定金利型3年満期)は、購入時の金利が、それぞれ5年、3年間満期を迎えるまで固定されているものです(固定金利)。金利は、基準金利 - 0.05%(固定5)/0.03%(固定3)で決まります。
*基準金利 : 期間5年または3年の固定利付国債の想定利回り
変動10年、固定5年、固定3年とも金利の下限が設定されており、0.05%より低くなる事はありません。
実際の金利ですが、2016年1月のマイナス金利導入以降、ほぼ0.05%と最低保証金利が続いています。
個人向け国債を多くの方が推奨する理由、そのメリットとは?
個人向け国債のメリットして下記の点が挙げられます。
最低保証金利
前述のように、0.05%が最低金利として保証されていますので、メガバンクや多くの銀行の定期預金金利(0.002%)の25倍と十分高い金利になります。
変動金利
これは変動10年に限りますが、半年毎に利率が見直される変動金利です。
よって、ほったらかしでも、その時の金利情勢に合わせた利率で運用してくれるというメリットがあります。
1000万円以上でも安全
国が発行する債券ですので、日本が破綻しない限り安全性が保障されているようなものです。
銀行預金などのように1,000万円以上は保証されないといったペイオフを気にする必要もありません。
これらが、専門家を含む多くの方が個人向け国債を推奨する大きな理由です。
個人向け国債はベターではあるがベストではない!
個人向け国債は非常に優れた商品である事は確かです。特に、
- 高金利は追及しない、そこそこの金利で十分。
- 多額の資産を有し、1,000万円毎に銀行を分けていられない。
といった方の無リスク資産の置き場として個人向け国債がベストな商品と言っても良いでしょう。
しかし、少しでもお金を増やしたい方にとって個人向け国債はベターではあっても、ベストではありません。
そもそも、メガバンクの定期預金金利と比較すること自体が間違っています。世の中には、もっと金利の高い銀行・信用金庫の定期預金があります。これらと比較しなければ意味がありません。
以下、個人向け国債と銀行預金との比較を行っていきます。
*尚、現在の金利情勢では、固定金利の固定5、固定3を購入する意味は殆ど無いと思いますので、以下、変動10に絞って比較していきます。
個人向け国債・変動10年と高金利銀行預金(定期預金・普通預金)の比較
比較一覧表
個人向け国債・変動10年と銀行・信用金庫 定期預金・普通預金を比較していきます。
定期預金・普通預金は、現時点で実際に十分有り得る金利で比較します。
個人向け 国債 変動10 |
銀行 1年定期 (*2) |
銀行 普通預金 (*3) |
|
金利 | 0.05% (*1) |
例えば 0.15% (*2) |
例えば 0.10% (*3) |
変動金利 | 固定金利 | 変動金利 | |
最低購入(預入) 金額 |
1万円以上 (1万円単位) |
銀行による | 1円 |
途中解約 | 1年経過後 解約可能 |
原則可能 | --- |
途中解約 の ペナルティ |
1年分の 利息相当額 |
中途解約金利が適用 され金利が低くなる |
無 |
安全性 | ○ | △ | △ |
(*1)2018.12~2020.9の金利が0.05%と最低保証金利となっています。
(*1,2)インターネットバンク、地方銀行・信用金庫インターネット支店などの預金金利の一例
(*2)例えば、楽天銀行マネーブリッジなど。
金利
個人向け国債・変動10の金利0.05%に対し、1年定期預金は例えば0.15%、探せばもっと金利の高い金利の銀行もあります。個人向け国債の3倍以上の金利です。
さらに普通預金でも2倍以上の金利があります。
現時点で、個人向け国債の金利は全く魅力ありません。
唯一、優位な点は変動金利である事。銀行定期預金でも変動金利の商品はありますが、高金利の定期預金は固定金利が殆どです。
変動金利だと、金利が上向けば、自動的に個人向け国債の金利も上がりますので(半年毎)、ほったらかしでも(将来起こるかもしれない)金利上昇に対応できます。
ただ、定期預金も1年定期等、長期(数年)の定期預金を避ければ、多少の手間をかけるだけで、十分、金利上昇に対応できます。
具体的な銀行・信用金庫の普通預金・定期預金の金利は下記ページを参照して下さい。
途中解約
個人向け国債は、大規模災害等の例外を除き、1年間は解約・換金できません。一方の定期預金は、中途解約利率が適用されるものの、解約が可能です。
不意の出費に対応できると言う点でも、定期預金の方が勝っています。
勿論、普通預金であれば、いつでも入出金が可能です。
*定期預金の途中解約はネット上だけで簡単に手続きができる銀行がある一方、地方銀行・信用金庫インターネット支店では郵送での手続きが必要な場合があります。
安全性
個人向け国債は国が発行するものですので、日本が破綻するような事がなければ安全です。
一方の銀行・信用金庫の預金、預金保険制度により、(銀行などが破綻しても)各金融機関毎に元本1,000万円までと、その利息が保護されます(ペイオフ)。個人向け国債と同等の安全性と言っても良いでしょう。(1,000万円と上限がある事から上表では△としました)
これも、1つの金融機関に1,000万円以上預けない、それ以上は複数の金融機関に分散して預入する事で安全性を確保できます。
ペイオフの詳細は下記ページを参照して下さい。
*外国銀行、外貨預金など、預金保険制度対象外の場合もありますので、ご注意ください。
以上のように、その時々で高金利の銀行定期預金に預入するなどの手間を厭わなければ、銀行預金の方がより有利に運用できます。
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まとめ
個人向け国債は、1000万円以上の資産を手間をかけずに運用したいという方にとっては非常に便利な商品です。
一方で、個人向け国債は、決して少額で毎月積立てするような商品ではありません。(まあ、都市銀行などの金利の低い銀行に預けっぱなしよりはましですが・・・)
少しでもお金を増やしたい方にとっては、個人向け国債より高金利の銀行預金の方が有利になる事が多いでしょう。勿論、少しでも金利の高い銀行を探し、1年毎に預け替え、1,000万円毎に銀行を分けるなどの手間はかかりますが。
また、ここではふれませんでしたが、個人向け国債にはキャッシュバック・キャンペーンというメリットがあります。
これを利用して、より有利に運用できる方法については下記記事をご覧ください。
キャンペーンは毎月実施するとは限りません。最新のキャッシュバック・キャンペーン実施状況は下記ページを参照して下さい。