個人向け国債

手数料体系見直しで個人向け国債キャッシュバックキャンペーン中止へ(2020年4月以降)、今後はどうなる?

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大和証券、SMBC日興証券、野村證券、みずほ証券といった大手店頭証券は、個人向け国債の購入で現金がプレゼントされるキャッシュバックキャンペーンをほぼ毎月実施してきました。しかし、2020年4月、突然、各社一斉にキャンペーン実施を見送り、中止としました。

本記事では、中止となった理由(手数料体系の見直し)、及び今後の見通し(管理人の推測)を解説します。

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個人向け国債キャッシュバックキャンペーンが2020年4月以降中止になった理由

従来の事務委託手数料とキャッシュバックキャンペーン

個人向け国債を販売する金融機関は、その販売額に応じて国から手数料(事務委託手数料)を受け取る事が出来ます。

これが、キャッシュバックキャンペーンの原資となっていました。

事務委託手数料は、平成29年(2017年)3月募集分(4月発行)から引き下げられ、現時点では、

変動10年 0.4%

固定5年   0.3%

固定3年   0.2%

となっています。

変動10年を例にとれば、100円につき40銭の手数料が販売会社の収入となります。

一方、キャッシュバックキャンペーンは、還元率最大となる1,000万円以上購入すると、100万円毎に4,000円、即ち0.4%、事務委託手数料の全てを顧客に還元していた事になります(大手店頭証券の場合)

そして、個人向け国債は1年経過後解約(換金)できますので(直前2回分=1年分の利子相当は差し引かれます)

1,000万円購入、40,000円のキャッシュバック、1年経過後解約、

これを1年毎に繰り返す事で年利0.40%、仮にキャッシュバックに税金がかからないと仮定すれば(*)、0.40% / (1- 20.315%) = 年利0.502%相当の1年定期預金と等価になります。

最近の個人向け国債の利率は最低保証の0.05%の事が多く、高金利定期預金と比較すると大きく見劣りし利率としての魅力はありません。ただ、このキャッシュバックキャンペーン、そして1年毎の解約・購入を繰り返す事で、大変有利な運用方法になっていたわけです。

(*)実際には雑所得として確定申告、住民税申告が必要な場合があります。

 

事務取扱手数料の引下げ、及び管理手数料の導入(2020年10月以降発行分)

キャッシュバック狙いの個人向け国債の1年毎の売買を、発行元である国が好ましく思うわけはなく、これを防ぎ、長期保有を推進する為、2020年10月発行分以降(2020年9月募集)、事務取扱手数料が引き下げられます。それと同時に新たに管理手数料が導入されます。

 

事務委託手数料の引下げ

2020年10月発行分より下表のように事務委託手数料が引き下げられます。(100円あたりの手数料で記載)

個人向け国債事務委託手数料 (100円あたり)
従来 2020年10月発行分より
変動10年 40銭 14銭
固定5年 30銭 11銭
固定3年 20銭 8銭

最も手数料が高い変動10年であれば、従来0.40%だったものが、0.14%にまで引き下げられます。

これが、2020年4月以降、個人向け国債のキャッシュバックキャンペーンが中止になった理由です。

 

管理手数料の新設

事務委託手数料の引下げだけでは販売金融機関の利益が少なくなりますので、事務委託手数料に加え、新たに管理手数料が新設されます。

これは、利払い時(年2回)毎に残高の0.02%を支払うというもので、当然途中解約した分は対象となりません。

仮に顧客が個人向け国債変動10年を満期までの10年間保有した場合、

事務委託手数料 0.14% + 管理手数料 0.02% x 10年 x 2(年2回) = 0.54%

となり、従来の事務委託手数料0.40%より、販売金融機関が受け取る手数料は増える事になります。

 

即ち、従来、購入時に一括して支払っていた手数料を、今後は購入時、及び保有期間に応じて半年ごとに支払う手数料体系に変更するいう事です。

この体系では、購入時に大きなキャッシュバックを行う事が出来なくなり、結果的に長期保有を促す事になるという施策です。

参考資料: 財務省 国債トップリテーラー会議(第19回)

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今後の個人向け国債キャッシュバックキャンペーンはどうなるか? 定期預金とくらべてお得なのか?

*以降の内容は、仮定の条件、及び管理人の推測によるものであり、その正確性を保証するものではありません。
尚、全て変動10年の場合で解説します。

前章で解説した通り、今後、事務委託手数料が大幅に引き下げられますので、今までのような大きなキャッシュバックは望めないでしょう。

 

今後も事務委託手数料を100%キャッシュバックしたとしたら?

今まで1,000万円以上の購入時は0.4%のキャッシュバックと、事務委託手数料の全てを顧客に還元してきました。

事務委託手数料が大幅に引き下げられる10月以降、同様に100%還元したとしても0.14%のキャッシュバックにしかなりません。1年で解約したとしても、(キャッシュバックが非課税と仮定した場合の)定期預金相当金利は0.176%で、従来の0.502%に対して魅力は大きく低減します。

勿論、1,000万円以下の場合は、さらにキャッシュバック率、そして定期預金相当金利は低くなります。

現時点(2020.7)の定期預金金利は、ネット銀行、及び地方銀行インターネット支店のキャンペーン金利で0.15~0.25%程度ですので、個人向け国債を1年で売買しても、ほぼ同等、もしくは定期預金より損という事になります。

 

管理手数料までもキャッシュバックされたら?

仮に、利払いの度に支払われる管理手数料が、その都度顧客に全額還元・キャッシュバックされるとしても(当然、国債は長期保有が前提)

利息 + 毎年受け取るキャッシュバック 合計(定期預金相当金利)は、

利息分 0.05%(最低保証金利と仮定) + キャッシュバック分 0.02% x 2 / (1-20.315%) = 年0.1002%

にしかなりません。

これでは金利としての魅力はありません。

*国債の利率は最低保証金利で計算してありますが、これが上がる時は、定期預金の金利も上がるでしょうから、その差は大きく変わらないでしょう。
*実際に金融機関がこのように毎年キャッシュバックといった面倒なサービスを実施するかは??? 仮に実施するとしても手数料全額キャッシュバックはないような・・・

 

キャッシュバックがない・減額された場合の個人向け国債のメリットは?

今後もキャンペーン中止が継続、もしくはキャッシュバック・キャンペーンが再開されたとしても大幅な減額が予想されますが、その際、個人向け国債の利率としてのメリットはもはやありません。

高金利を追求するなら、ネット銀行、地方銀行・信用金庫インターネット支店などのキャンぺーン金利で定期預金に預入した方が良いでしょう。

個人向け国債をおすすめできるのは、

  • 高金利の銀行定期預金を探したり、預け替えするのが面倒。
  • ペイオフを気にせず1,000万円以上預入・購入したい。
  • そこそこの金利で、変動金利である事に魅力感じる。
    *都市銀行などの低金利の定期預金に預けるぐらいなら個人向け国債の方が十分お得!

こういった方には、キャンペーンがなくなったとしても個人向け国債は依然メリットのある商品と言えるでしょう。

 

高金利の定期預金、各銀行の金利比較は下記ページをご覧ください。

 

最新の個人向け国債のキャッシュバックキャンペーンの実施状況は下記ページをご覧ください。
現在(2020.7)でも、SBI証券だけはキャッシュバックキャンペーン実施中です(還元率はそう高くありません)。

 

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